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May 05, 2007

ソウルの女王

4月21日に見た、アレサ・フランクリンのコンサート・レヴューを、師匠が書いてくれました。

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1950年代に現れて、60年代から70年代にピークをむかえた黒人ポップミュージックに「ソウル」というのがあります。ラジオを通して聞くことを前提としたシンプルでわかりやすい曲に、ストレートな感情表現を歌い込む、まさに魂の音楽です。楽曲は別にして、日本の同時代の歌謡曲と共通する点が多いと感じる音楽です。80年代以降は、より洗練された音楽に昇華してしまい、現在ではソウルと呼ばれる人はほとんどいません。日本で歌謡曲と呼ばれる分野がほぼ消えてしまったのに似ていると思います。今でもテレビに往年のスターが出ることはあります。アメリカン・アイドルでも、スティービー・ワンダー、スモーキー・ロビンソン、ダイアナ・ロスが特別ゲストで出ましたが、彼らの全盛期に比べるとソウル魂(意味が重なってますが)が全く失われてて、実に痛々しい限りです。

去年の暮れにはソウルの王様ともいえるJBこと、ジェームス・ブラウンが突然亡くなりました。ニュースが少なかった日とはいえ、一面にとりあげる新聞もありました。

多くのスターが消えた上、王様まで失ったわけですが、まだソウルが完全に滅びたわけではないようです。なぜならソウルの女王がいまだ健在だからです。というわけで、前置きが長くなりましたが、今回は"Queen of Soul"アレサ・フランクリンのコンサートリポートです。(ご存知でない方のためにあえて日本の歌謡史で相当する人をあげるとしたら、美空ひばりでしょうか。現役なら和田アキ子の位置が近いでしょう。)

アレサは今年で65歳だそうです。われわれが東京からカリフォルニアに移って少しして、アレサ・フランクリンはもうツアーをやらない、というアナウンスがありました。当時、60歳くらいだったと思います。単発のコンサートはあるかもしれない、とのコメントはついてましたが、これでアレサフランクリンを見る機会はないな、と感じたものです。あれから5年。自分たちがまだアメリカにいるなんて。しかもダラス。そして本物のアレサ・フランクリンを間近に見れるなんて。当時は全く想像もつきませんでした。

今回の会場はNokia Theaterでした。客層は主に40代から60代と思われる人たちで、10代から20代はほとんどいません。パティ・ラベルのときのように9割方黒人かと思ってたのですが、意外と白人が多く、黒人と白人が半々。黒人の人はきちんとドレスアップしてる人が多かったのですが、白人の人たちは普段通りいいかげんな感じの人が多かったです。

周囲の人々の動きを見ていると、なぜか隣同士の席がとれなかった人たちが多かったようで、年配のご夫婦が離れた席に居心地わるそうに座ってる、というのがけっこう見られました。きっと、年配の方はチケット発売開始直後にネットにガンガンアクセスして良い席を確保する、とかできないので、残った続きでない席をばらばらに取ったのではないかと思われました。あと、気のせいか、男性同士のカップルがなぜか目につきました。もちろん、数としては少数ですが。kmyに、アレサは同性愛をリスペクトしている人なのかと聞かれましたが、そういうことは特別にないはず、と答えときました。私が知らないだけかもしれませんが。

自分はコンサート会場でTシャツとか買わない方なのですが(ブログ主のkmyはかなり買います)、今回だけは後悔のないように思う存分に買ってやろうと意気込んでいたのですが、なんと販売ブースが出てません。大きな会場から小さいところまでいくつか行きましたが、全く何も出てないのは今回が初めてなような気がします。これも女王の余裕か。

席は前から12番目で、ステージにむかって右側のソデの近く。スピーカーが真正面にあるので音の良さは期待できないが、ステージ間近で、ステージ上で準備する人の顔が良く判る席。スタッフの人たちが全てダークスーツにネクタイしているのがかっこいい。

ステージ上は見事なまでに装飾なしで、楽器と楽譜台のみ。かなりの数の楽器と楽譜台が並んでて、数えるとホーンだけで10個もある。もしかしたら一人で複数使うのかなどと思う。

開演時間ちょうどくらいに、われわれの席と反対側のソデの奥、正面からは見えないスペースに人が集まってきた。なんかお祈りみたいなのをみんなでして、気合いを入れてる。

開演時間から10分くらいしたところでバンドのメンバーが出てくる。ドラム、ギター、ベース、ピアノ、オルガン、キーボードに加えてパーカッションが2人。コーラスが5人もいると思ったら、1人はタンバリン担当だった。ホーンは楽譜台の数だけいて、なぜか全員白人。なんと総勢23人。MCの人が、「アレサ・フランクリン・オーケストラ」と紹介する。バンドじゃなくてオーケストラか。たしかに。オーケストラだからか、指揮者まで出てくる。指揮者込みで総勢24人。このメンバーで前座がわりに何曲か演奏して、ロビーにいる客を呼び込んで着席させるのかと思ったら、ステージの、目の前のソデから青いドレスを着たでかい女の人がいきなり現れる。アレサだ!

一曲目は「Respect」。本人が目の前で歌ってる。すごい感動。二曲目はキャロル・キングの名曲「Natural Woman」。自分はコンサートでそれほど感動にふるえるほうではないと思うのですが、ここで涙が出そうになってしかたがない。こりゃヤバい、と思って たら、左隣の席の白人のおっさんが妙な踊りをしはじめて、急速に覚めてくる。助かった。ここから少し落ち着いて聴けるようになる。

次は映画ブルース・ブラザースでおなじみ、「Think」。決めポーズも映画と同じで大満足。結局、1時間半にわたって、全15曲。有名な曲に加えて、何曲かは新しいアルバムからだと言ってました。

途中、ゴスペルっぽくなったり、クツを脱いで踊ったり、ピアノを弾いたりもありで、最後は、「Free Way of Love」。65歳の年齢を感じさせない歌いっぷり。たいていのコンサートで中だるみの時間帯があるのですが、時間が短めだったとはいえ、たいへん濃密な時間でした。

アンコールで「I Never Loved a Man」とか、今回歌わなかった超有名曲をやるかと期待していたら、な、なんとアンコールなし。これは客の方が問題でした。この日は年齢層も高くて、みんな粘りがなかった。全般的にダラスの客は粘りがないし、態度も悪い。特に白人。

アンコールなしでちょっと残念だったけど、でも素晴らしいコンサートでした。姿を現すだけで感動させてくれる人は他にはいないでしょう。もちろん歌の素晴らしさは別格。まさに女王。いいもの見させていただきました。

Aretha_austin
写真はダラスではなく、4月19日のオースティンでのコンサートです。austin360.comより拝借しました(kmy)。

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Comments

おおー、お師匠さんのコンサート評、すばらしい!私は良かったの楽しかったの、単純なことしか書けないので・・・。

私は彼女のことは詳しく知らないですが名前と数曲くらいは知ってるので、トモが産まれてなかったら行ってみたかったなー。

歌の上手さで感動させられる歌手って、そうたくさんいないんでしょうね。私はセリーヌ・ディオンを見たときにぞわぞわきたことがありました・・・。

Posted by: ハヤシくん | May 08, 2007 at 03:02 AM

コメントありがとうございます。
長く書いちゃってすいません。読みづらくて。
アレサ、実に良かったし、今後また見れる可能性がきわめて低いかと思うと、力入っちゃいました。

セリーヌディオンは、アメリカンアイドルの先日の特番に出てた、というか、プレスリーとの合成画像で出てたのを見ましたが、やっぱりうまいですね。アメリカンアイドルに出てくるゲストはエラそうなこと言うわりにはステージがだめな人が多いのですが。
今日のビージーズのバリーギブもヤバそう。

Posted by: 師匠 | May 10, 2007 at 03:07 AM

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